前へ
2022.10.18
10月の「北欧の暮らし講座」レポ
こんにちは。16回目のコラムです。
今回は、「設計担当に聞く! KAKAの住まい設計の心得」と題して、設計をするうえで大切にしていることをご紹介していきたいと思います。
以前コラムでも書きましたが、KAKAの設計士は、20代で寒い家を建ててしまった経験があります。デザイン優先で、性能や使い勝手は二の次で設計した結果、子どもを小児喘息にさせてしまったと後悔しています。
その後、ある建築家の先生の教えを受け、いかに温熱環境が大切かということを学びます。家は、美術館や博物館ではありません。長く住むのだから、とにかく冬は暖まりやすく、夏は涼しくなることが快適さにつながります。家の中で温度差ができると、冷えている部分は壁の中で結露が発生したりします。結露自体はなくせません。それは避けられない現象なので、なるべく最小限で抑えられるような設計を、科学的な根拠に基づいて行っています。
他にもエアコンを取り付けるポジション、どのように風がめぐっていくかということ、そういったメカニズムを知っているか否かは、住宅設計に大きな影響を与えます。
我が子を小児喘息にさせてしまった。同じような子どもを増やしたくない。その想いから、建築は大好きなんだけれど、デザインに偏りすぎることなくバランスよくやりたい。その中の一つとして、断熱気密、温熱環境をとても大事に考えているとのことでした。
KAKAのコアバリューは「思いやり」「夢・希望」「創造性」。この価値基準に基づいて、お客さまの心情を想像しながら設計も行われています。
そのために大切なことは、「成長」と「成熟」。
人も社会も、成長の連続体です。「より良く」を追求した先に、喜びや豊かさがあると考えています。
実務的な話でいうと、最初から間取りは何LDKで…と決めて設計していくことはありません。お客さまの要望を聞かせてもらい、それを上手に調理していくのが設計の役割です。金額だけでなく家族構成、暮らし方、趣味や性格、言語化されていないことも感じ取りながら、その人から出てくる周波数をできるだけキャッチして、設計に反映していきます。
ですので……、間取りをお客さま自身が作成して持ってくる、というのはあまりおススメできません。空間は4次元です。すべてを考慮してまとめあげたものをお出しするのが、私たちプロの仕事です。そのためにも、対話し、心を開き、信頼関係を築くことが何より大切だと思っています。
また、いい建築物を見たり、本物に触れてみるという経験や空間体験がないと、より良い設計はできません。現地を見て、人を見て、ヒアリングシートに書いてもらったこと、書いてないことまで見て、調和させながら落とし込んでいく。そのプロセスには、こちらの人間性・感受性も影響してきます。成熟していかないと受け止めきれなくなってしまいます。
今の時代、作ること自体に価値はなくなっています。そこに、それ以上の価値を付けて、お客さまにお出しすること。言われたことをただするのではなくて、どんな気持ちにしてあげられたか。そういったところに、会社の存在意義があるのだと考えています。思いやりであったり、想像を越えるものをお出ししたり、ワクワク楽しんでいける人生を想像させてあげること。「建築でやれることは、建築をつくることだけじゃない」と思っています。
そのために、設計として、KAKAとして、成長と成熟は永遠の課題だと心得ています。
いかがでしたでしょうか。KAKAは「ゆたかな暮らし」を想像しているので、テクニックよりも先に感情があります。そのご家族のためにいい家をつくりたい。その熱い想いが設計担当の手を動かしているといってもいいでしょう。
ですので、プランをお出しする時にはついつい感情的に前のめりになってしまうこともありますが(笑)、それくらいの想いと時間をかけて一つひとつのプランを練っているんです。
今回は、そんな設計者の心得をご紹介しました。それではまた。
西三河を中心に、安城市で注文住宅、新築一戸建てを手掛けるKAKAの今井でした。