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2022.08.19
男性目線の「北欧好き」の入り口
こんにちは、KAKAの今井です。
突然ですが、あなたがこれから家づくりをするなら、何を重視しますか?
もう建てた方は、何を重視しましたか?
今回は、20代で自分の家を建てた建築士の話を交えながら書いていこうと思います。
今から14年まえに建てた建築士の自邸。当時は周りから「ヘンテコな家だね」と言われることも多かったそう。その頃はハウスメーカーが主流の時代。デザイン性をうたうような工務店は少なかったそうです。
けれど、その流れが3、4年くらいまえから変わってきたと言います。
そして今、普通に「おしゃれだね」と言われることも増えてきたとか。
でも、当の本人はそのことに疑問を抱いているようで…。
実は、その建築士は20代で建てた家を「失敗した」と振り返っています。
それはなぜでしょうか? 詳しく聞いてみたいと思います。
その当時、自分はエゴの塊だったね。人からよく見られたい、すごいって言われたいっていう気持ちが大きくて。デザイン的にも無謀だったなって、後悔してるよ。
たくさんあるよ(苦笑)。大きく作りすぎたとか、軒無しの家だから、雨染みができたり木製サッシが腐りかけちゃったり。
換気のことにも興味や知識がなかったから適当で。その影響か、子どもは花粉症、喘息になっちゃって。ほんと申し訳なかったと…。寒いから、しもやけにもなるしね。
それはもう、デザインだけに着目しちゃったこと。若さゆえに…と今になって思うけど、あの頃の自分に言えるなら言いたい。「かっこいい」だけにとらわれるな!と。
もうちょっと性能にも目を向けて、デザインと性能、バランスのとれた「ほどほどの家」がいいな。
若い時はデザインに引っ張られて、将来を見据えていなかった。
だけど、暮らしたら家族の安全や健康の事もあるし、家事のしやすさ、換気、断熱、そういう性能も大切なんだって実体験としてわかって。小さくてもいいから、快適で、居心地がよくて、毎日心豊かに暮らせる。そういう空間がほしいだけなんだよね。誰かに見せるため、比べるために建てるわけじゃないから。
20代の自分に言いたいことと同じで、「デザインだけに偏ると、破綻するよ」と。ちゃんと意味のある形、サイズっていうのがあって、それは省エネにもつながるし、単に「おしゃれ」なだけじゃない根拠があるから。そういう意味のデザイン性だったらいいと思うんだけど、エゴからくる「デザイン性の高い家」はおススメしません! 若い時は、ある程度エネルギーで補えるけど、年齢を重ねるとそうはいってられなくなるから。何十年も住むことを想定して考えてもらいたいな。自分と同じ失敗をしてほしくないから。
あとは、インスタとかSNSの情報だけじゃなくて、少し先を歩いている僕らみたいな人の話も聞いてみて損はないよと。若い人からしたら、おじさんがうるさいことを言ってる…って思うかもしれないけど、それなりに経験してきてるから。こういう人間も資源だと思って使っていってほしいね(笑)
・・・いかがでしょうか。失敗もした。後悔もした。でもそれを糧として、より良い家づくりへと活かしている建築士の話でした。
そもそも、「デザイン」とはどういう意味なのでしょうか。この言葉は日常のいろいろな場面で目にしますが、発信する側、受け取る側、それぞれの定義があやふやなまま、言葉だけひとり歩きしている気もします。
デザインについて辞書やネットで調べてみると、これまた膨大な情報が目に飛び込んできますが、住宅とからめて言えるのは、
「デザインとは、見た目だけのことではない」ということ。
ですから、「デザイン住宅」というのは、決して「おしゃれでかわいい家」とか「モダンでかっこいい家」のことではないんですね。
このあたりに踏み込むと、とても長くなってしまいそうなので割愛しますが、どうもトレンドを押さえている見た目を「デザイン」と言いがちな風潮があるように感じます。(そして、上の会話でも、あえてそのような意味で「デザイン」を使っています。)
代表の長谷はよく、「『デザイン』という言葉を軽々しく使いたくない」と言いますが、それくらい、使うのに慎重になる言葉でもあるのだと思います。
そんなKAKAが大切にしているのは、「なんか感じがいいね」と思える空間づくりや居心地のよさを追求していくこと。そのための設計プロセスを丁寧に行っていくこと。「デザイン」に置き換えるなら、こういう言葉になると思います。
あるショップの店員さんが話してくれたことで、印象的な言葉があります。
「いつまでもピタピタのスリムなパンツで、体形を露わにし続けるのは、難しいよ。」
年齢を重ねたら、全体のバランスをみたコーディネートが必要になってくるのだと、そういう意味だと思います。素材感や着心地も、若い時より重視するようになってくるはず。
これは、家にも当てはまるのではないでしょうか。
若さの勢いで家づくりをしてしまうと、のちのち家が人に馴染まなくなってしまう。年齢を重ねた住み手に、家が追い付いてこなくなるんですね。洋服ならまだしも、家はそうそう建て替えられるものではありません。
そして35、40歳あたりになって、なんとなく違ったな、しまったな…と後悔してしまうことも。
そんな悲しいことになってほしくないと、私たちは思っています。
じゃあどんな家がいいの?と思われるかも知れません。ぜひ、まもなく開催されるKAKAの完成見学会へお越しください。百聞は一見に如かず。体感していただくのがいちばんです。詳細は近日中に公開しますね。
若い方には少し鬱陶しいと感じる内容だったかも知れませんが、人生経験、社会経験、子育て、酸いも甘いもそれなりに嚙み分けてきたスタッフからのアドバイスでした。